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WANは外部接続の通信システムで、雑誌返品処理センターと書店・出版社・他取次およびT社の本社ホストとコミック・センター・システムを接続するシステムである。
通信回線網は、少量のデータを送受信する書店や中小出版社に対する「公衆電話網」と、大量のデータを送受信する大手出版社や他取次に対する「INS64」の2種類を提供する。
T社は、1994年9月に「ジャンプUP50」と名付けた5カ年経営計画を発表した。
5カ年経営計画の最終年にあたる1999年に、創立50周年を迎える。
物流情報システムに多額の投資をして、出版流通の抜本的改革を狙っている。
雑誌返品センターの建設、雑誌発送センターのFA化、書籍注文品発送システムの再構築などの施策がその計画内容である。
その第一号が、1997年4月に稼働を開始した、雑誌返品処理センター「東京ロジステイックスセンター」の建設で、投資総額150億円である。
1997年4月より、同業者の海社およびK販売鰍ェ当センターの利用を開始し、共同物流センターとしての役割を果たしている。
3社合計で、取次を経由する雑誌の約50パーセントが処理されている。
1998年2月に、高速仕分機(ソートマスター)を導入した。
出版社に返品するコミックを、出版社別・アイテム巻数別に仕分し、結束・返品処理を効率化するためである。
東京ロジステイックスセンターの稼働により、物流施設は6カ所から1カ所に集約され、物流施設間の横持ちが解消され、迅速な返品処理とコストダウンが可能になった。
古紙化処理を、当センター内で行うことにより、従来のT社から出版社への配送、出版社での荷受・仕分・収納・出荷、出版社から古紙会社への配送などの古紙化のプロセスが不要になり、物流プロセスの大幅短縮が実現した。
東京ロジステイックスセンターの稼働により、T社のみならず、取引先の書店・出版社や古紙化会社の経営に大きなプラス効果をもたらしている。
「不況に強い」出版業界であるが、1997年に戦後初めて前年対比マイナスの売上を記録した。
出版物の販売額はGDPに比例して増加してきたが、今曲がり角に来ている。
売上額の減少に加えて、返品率の上昇で収益が大きく圧迫されている。
読者の注文に対し、3日から2週間の納期を要する出版流通の現状の改革が急務である。
60万点に及ぶ書籍の流通商品を、読者に送料負担をさせないで迅速に届けられる、出版社から書店に到る出版業界全体の、サプライ.チェーンの仕組み作りが課題である。
取次各社は、今後とも継続的な物流投資、情報化投資により、読者サービスの改善と物流コストの削減が求められている。
収益の改善は、売上増加でなく経費の削減により実現する時代である。
当センターの建設は、単なる物流拠点の集約化によるT社の物流効率化だけでなく、書店・取次・出版社を結ぶ、サプライチェーン全体の物流・情報システムの革新に貢献している。
石川賞受賞記念予稿集の表題を、「製。
配・販三者協力により構築した新雑誌返品入帳システム」とした由縁である。
中堅代理店の同社は、売れ筋商品を利便性の高い立地に在庫し、他社より秀でた、紙卸商(お客様)への支援サービスを行なっている。
同社は、ユーザーである印刷業のオンデマンド・ニーズ(必要な時・必要な場所へ.必要な商品を.必要なだけ)に対応し、お客様にあたる紙卸商が引取配送をスムーズに行なえるようにリテールサポートしている。
従来、同社東京支店では平置倉庫からのデリバリーを行なっており、物流システムらしいものは特に何もなかった。
このため週初めや週末など注文件数が増えると、「出荷が遅い」「出荷指図書が届いてない」「荷傷がついており、返品させて欲しい」「出荷された品物が違う」などのクレームが多発し、営業担当は謝りに追われることが日課となっていた。
そこで同社では、物流機能の見直しを行ない、平置倉庫から立体自動ラック倉庫へ転換させ『より高い満足感をお客様に提供できる倉庫』を目指し改善を図ってきた。
またお客様に、より高い満足感を提供できる仕入先としてリテールサポートの観点から物流面の改善を行なっている。
さらに自社の物流コスト削減にも積極的に挑戦している。
印刷業界ではデジタル革新が進んでいる。
従来、入稿は全て紙の原稿であったが、最近ではフロッピーやMOになっている。
DTP(デスクトップ・パブリッシング)が進み、入稿から版下までの作成が急速にデジタル化してきた。
印刷についてもCTP(コンピュータ・トゥ・プレイト)やデジタル印刷の進展で、版下を手作業による刷版にせず、自動で読み取る印刷機が出てきている。
このため入稿から印刷にかかる日数はさらに短くなってきた。
紙は重厚長大製品で重く嵩張ることから、従来の納入形態は受注後翌日または翌々日納入であった。
近年、当日受注で当日納入や当日の時間指定納入が増加してきた。
印刷所の発注方式はオンデマンド・ニーズに変わってきたのである。
このため、紙卸商は同じ印刷所に1日に3度も4度も行く多頻度納入対応を迫られ、商品も多品種小ロット対応となり、物流面の変革を急速に推し進めざるを得なくなってきた。
店では保管・大口配送、卸商では常備在庫管理・小口迅速配送・断裁加工、といった機能分担を行なっていた。
ところが最近では、メーカー・代理店が直接ユーザー販売を行う流通の短絡化が進行してきた。
各流通段階での機能分担の壁が取り外されたり、集約されたり、一部の機能が外注(アウトソーシング)されるなど変化してきたのである。
同社では従来、卸商の機能であった常備在庫機能や断裁加工機能などを自社に取り込むことにより、印刷所のオンデマンド・ニーズに対応する紙卸商策を考えてきた。
それぞれの流通段階では、今まで踏み込んではいけない閉鎖的な機能面の壁を業界ぐるみで守っていたのである。
同社は、紙卸商(お客様)の代りに自社で卸商機能を持つことにより、お互いの経営資源の重複部分をなくし無駄を省き、ユーザーに対する紙卸商のサービスを、より強化する手伝いはできないだろうかと考えてきた。
同社では、立体自動ラックを導入するまでは、平置倉庫を利用した熟練作業員による少頻度出荷型の物流であった。
お客様からは、「出荷に時間がかかりすぎる」「出荷指図書が流れていない」「在庫品種が少なすぎる」「品物が古い」「荷傷がついている」など、さまざまなクレームを頂いた。
まだ当時はこれでも許される面があった。
もし、今このようなクレームがついたなら、商売は継続していなかったに違いない。
作業工程は下記のフローで進んでいた。
注文は電話で受注し、出荷指図書を倉庫にFAXし、倉庫ではそのFAX情報に基づき平置倉庫の在庫の中から必要な商品を探し出し、必要数量に小分けピッキングし、出荷し、残りの商品を片づけるなど、作業工程の無駄を生じさせていた。
どんな熟練した作業員でも、全商品の在庫場所を記憶することはできない。
しかも、必要とする商品が最奥部の一番下のパレットにあるとしたら、フオークリフトでその品物を繰り出すのには相当な時間と労力を要する。
また、品物を動かすということは、荷傷の発生度合いも多くなるし、荷繰り作業に気遣うあまりにピッキング数量や商品を、間違い出荷するミスも発生することにつながっていた。
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